これは、個別指導を始めてから気づいたことなのですが、
生徒さんによって、向かい合って教えるのが上手く行く
タイプの人と、横に座って教えるのが上手く行くタイプの
人がいます。
また、同じ生徒さんであっても、場合によっては
向かい合って教えた方が授業にリズムが生まれる時と
横に座って教えた方が授業にリズムが生まれる時があるのです。
どうやら、人と人がひとつのテーマの下で話を進めていく時、
上手く行くかどうかは互いの座る位置が大きく関係している
ようなのです。
「向き合って」話すというのは、
例えるなら野球のキャッチボールの構えです。
何かひとつのゴールを目指すのではなく、
球を受け、球を投げ返しながら、
お互いを知り、お互いを練磨していくことが目的です。
一方、「横に座って」話すというのは、
サッカーやラグビーにおけるパスの形です。
ひとつのゴールを目指し、うまくパスを回しながら、先へと進んでいく。
連携プレーをしながら、ゴールへと到達していくことが主目的です。
このように、座る位置を変えて話をする(授業をする)ことで、
学びの質が変わるのです。
向き合って上手く行く場合と、横に座って上手く行く場合があるのは、
生徒さんがその時に必要としている学びの質が、
どちらかにシフトしているからもしれません。
私は、生徒さんの気質や状況に応じて、
座る位置を変えることがあります。
また、机や椅子の配置を変えることもあります。
そうすることで、極めて感覚的に言えば、
「空気の流れ」が良くなり、
授業にリズムが生まれることがあるのです。
これは授業に限ったことではなく、
友人間でも、恋人間でも、夫婦間でも、家族間でも、
誰かと「対話」する時には、同じことが言えるのではないか、
と思うのです。
向かい合って話をすると、いつも衝突してしまう・・・という時には
横に座って話をしてみる。
(車の中で話をすると、自ずと横に位置するか、
前後に位置するかになるので、良いかもしれません)
横に座って話をすると、なかなか真面目な話ができない・・・
という時には、向かい合って話をしてみる。
そうすると、普段とは違った心持ちで対話が進み、
建設的な時間が得られることもあるようです。
教師に限らず、多くの人は、
どこで話をするか、何の話をするか、どんな風に話をするか、
ということに関しては、意識するかもしれませんが、
「どんな位置関係で話をするか」に関しては、
あまり意識しないのではないかと思います。
しかしながら、「座る位置を選ぶ」ということも
良い対話を行う上で、とても重要な要素のひとつなのです。