学習サロン ブリリアンス

現代の1日は古代の1万年

今回の日記は、最近、理科の授業で私がよく生徒さん達にしてしまうお話です。

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水の中だけで暮らしていた魚たちは、外の世界にあこがれました。

そうして、その魚たちの中から、水と陸のふたつの世界で生きられる両生類が生まれ、またその中から乾燥に耐えられる強い身体をもった爬虫類が生まれました。

また爬虫類の中から、空を飛びまわる自由を獲得した鳥類や、子を胎内で育むことができる哺乳類が生まれました。

そしてその哺乳類の中から、我々人類が誕生して今日に至るわけです。

このように生物は進化したと教科書には書いてありますが、では、我々人類の中からも、そのうち、さらに進化した生物が生まれてくるのでしょうか?

どんな姿をした、どんな能力を持った生物が生まれてくるのでしょう?

そんなことを想像していたら、ある重大な事実に気づきました。

2011年現在を生きている人類と、100年前の人類は全く異なる生物だということに。

え?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、よく考えてみてください。

100年前の人類には不可能だった多くのことが、我々にはできるようになっているんです。

例えば、私たちは時速100kmで走ることができます。

また私たちは時速700kmで空を飛び、8000mの深海に潜ることだってできるんです。

そう、もちろん、これは自動車や飛行機や潜水艦といった「道具」の使用を許可した上での話ですが、私は「人類の進化」は、人類が実用化したテクノロジー込みで語るべきではないかと思うのです。

生物が何億年という時をかけて遺伝子を加工して陸上に進出したことや、さらに何億年という時をかけて空へと進出したことと同じように、人類が飛行機を発明して空を飛べるようになり、さらにはロケットを開発して宇宙空間にまで飛び出せるようになったことは、「能力の獲得」という観点で考えると、同じ次元で取り扱える話ではないでしょうか。

それでは、その進化にかかった年月を比較してみましょう。

例えば、両生類が誕生して生物が陸に上がってから、空を飛ぶことのできる鳥類が誕生するまで約2億年かかったのに対して、ライト兄弟が1903年に世界初の有人動力飛行を成功させてから、1961年にガガーリンが世界初の有人宇宙飛行を成功させるまで、たった58年しかかかっていません。

生物が陸→空と進出するのに2億年、人類が空→宇宙と進出するのにたった58年!

ここ100年の人類は恐るべき速度で進化していることが分かります。

他にも我々はこの100年で、一度に何億という同胞にメッセージを送ることができるようにもなりました。

ラジオ放送やテレビ放送によってです。

さらに、この15年の進化はすさまじいかぎり。

我々は、電波の届くところであればどこでも、一瞬にして地球の裏側に住んでいる人間とも意思の疎通をすることができるようになったのです。

しかも音声だけでなく、画像イメージすら瞬間的にやり取りすることができます。

携帯電話とパソコン、インターネットの発達によってです。

ほんの15年前までは、これは当たり前のことではありませんでした。

ほとんどの人は、携帯電話もパソコンも持っていませんでした。

100年前の人類からすれば、超能力と思えるような力を、高々15年の間に人類は標準的な能力として身につけたのです。

(※もちろん全人類ではありません。一部の「恵まれた」人々だけではあるのです。100年前よりもさらに「持てる者」と「持たざる者」の差が大きくなっていることも考えなければならない問題です。)

最近、私は時の流れを異様に速く感じていたのですが、これは年をとったせいでも、気のせいでもありませんでした。

我々が加速度的に進化していることが原因だったのです。

100年前の10年間と、現代の10年間は、「時の密度」が、おそらく大きく異なるだろうと思います。

現代の1日は、もしかすると古代の1万年くらいに相当するかもしれない。

それくらい密度の濃い時間を現代人は生きているのだと、私は思うのです。

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