この夏にすごい成長・変化を見せてくれた生徒がいます。
その子は、自分の志望がどんどん具体的に、明確になっていって、その情報を収集するために、東京に行き、某大手予備校の対策講座を受講して帰ってきました。
夏休みが始まる前と、今とでは全然顔が違います。
清々しい、とても良い表情をしていました。
最近の模試でも、非常に良い結果が出て、目標を達成する道筋に光が差しました。
私も大変嬉しかったです。
これまでの道のりは平坦ではなく、学年一位を連続で取って絶好調の時もありましたが、その後、学校生活で悩んだり、体調を崩したりと、様々な理由から、成績が落ちこんでしまいました。(今思うと絶好調の時は、ものすごく気を張って頑張っていたのかもしれません。)
テストでなかなか結果が出ないと、私もものすごく責任を感じますし、なんとか改善できないかと気をもみます。
しかし、落ちこんでいる間も、その生徒は、その子の人生にとって必要な学びをしているんじゃないかな、と思って、ずっと見守ってきました。(その期間に、その子は、人生を支えてくれるであろう、二つの素晴らしい「文化」に出会い、その話を僕によくしてくれました。)
本人も先生も親御さんも「信じて待つ」のは大変なことです。
「信じて待つ」のは何もしないことではなく、「焦らずに、今自分ができる最善を尽くす」ことです。
誰かのお膳立てに乗っかるのではなく、(もちろん誰かの助けを借りることは必要なことですが)
試行錯誤を繰り返し、自分の意志と行動力で、光を見出していった、その生徒さんを僕は誇りに思います。
目的意識が明確になってくると、頭ではなく身体が動き始めます。
頭ではなく身体が、必要な情報を集め始め、自然と必要な動きをしてくれるのです。
そうなって来ると、成長は加速します。
生徒も私自身も、これまで落ち込む時期もありましたが、「信じて待つ」すなわち「焦らずに今自分ができる最善を尽くす」ことをしてきて良かったなあと思いました。
人生の旅、勉強の旅は山歩きと一緒ですから、これからも山もあれば谷もあるでしょう。
しかし、どんな時も、「信じて待つ」「焦らずに今自分ができる最善を尽くす」ことが、谷を越え、山を登るための、必要条件ではないかと思うのです。
山で道に迷い、遭難しかけた時も、生き延びるためには、きっとそうするでしょう。
あきらめて何もしなかったり、焦ってむやみに動けば、助かる確率は下がります。
順風満帆で勉強の旅を進めてこれた人は素晴らしいです。
でも遭難寸前のところから復活して、山あり谷ありの勉強の旅を進めている人も、同じか、それ以上に素晴らしいです。
苦しい所から、希望を捨てずに、最善を尽くして、それを乗り越えて来た人は、「タフ」です。
ここで言う「タフ」とは、自分の弱さも強さも両面、痛い程知っていることで生み出される、タフさです。
そして「タフ」な人は、教科書では学べない人生の知恵を得ています。
その人生の知恵は、自分だけでなく、きっといつか、周りの人の生きる手助けとなるでしょう。
順風満帆も素晴らしい、幸せなことです。
山あり谷ありも、見方によっては、実は素晴らしい、幸せなことではないかと思うのです。