不思議を楽しむこころ

iphone6の中には、「itunesU」というアプリが入っているのですが御存じですか?

世界中の様々な大学や高校の先生方の講義動画が見られるアプリなのですが、昨夜私は、その中にある、東京大学の宇宙論についての特別講義の動画がふと目について、なんとなく視聴を始めました。

高校生向けの入門的な講義なのですが、それを見ながら、私も高校時代に戻ったような気持ちになりました。

私たちの住んでいる銀河は、重力によってその形が保たれていますが、銀河の中にある全ての原子を掻き集めてみても、銀河の形を保てるほどの重力にはなりません。

では何が必要な重力を生み出しているのか?

どうやら、宇宙には「見えない」謎の物質が大量に存在していて、それらが重力を生み出しているようなのです。

その物質を暗黒物質(ダークマタ―)と呼ぶのですが、現在でもその正体は良く分かっていません。

講義では、この暗黒物質や暗黒エネルギーについて簡単に解説されていたのですが、まるでSFや漫画に登場するようなファンタジックな存在で、参加していた高校生達の心は、グッと鷲掴みにされたことでしょう。

高校時代の私も、わりと図書館に行くのが好きで、宇宙論に関する本も手にすることが多く、この暗黒物質や暗黒エネルギーについて触れられた本を読んで、胸を躍らせたものです。

高校時代のことを思い出しながら、私はふいに、かつていつも感じていた、世界って「不思議だなあ」と思う感覚を最近忘れてやしないかと思いました。

小さい頃、夜空を見上げながら、星ってなんで輝いているんだろうと思った気持ち、宇宙の果てってどうなっているんだろうと想像して怖くなった気持ち、正体の分からない見えない物質が宇宙には大量に存在していて、それらが実は重力を支配しているんだと聞いた時のワクワクする気持ち・・・

そういう、分からないけれど面白い、分からないから面白い、というワクワク感が、最近薄れてきているような気がして、自分自身が寂しくなったのです。

今、私は、生徒に物理や化学や数学を教えています。

「先生、問題をいっぱい解いて、物理のテストですごく良い点が取れました!!」という報告を聞くのも、「先生、理科が上手く行って、志望校に合格できました!!」という報告を聞くのもすごく嬉しいです。

でも、点数や合格を目指すこと以上に、私がかつて感じていた、宇宙に対する不思議だなあというワクワクを、もっともっと生徒達に伝えたいし、生徒達の中にあるたくさんのワクワクをもっともっと引き出してあげたいなあと思うのです。

そういう「センス・オブ・ワンダー」の感覚や大きな好奇心の「副産物」として、理科や数学が好きになり、テストの成績も上がるのだとしたら、それが一番嬉しいことであり理想です。

日本全国には今、理科や数学が「わからないから、面白くない」「わからないから、苦痛だ」と思っているたくさんの生徒さんがいるのではないかと思います。

でも、本当は、理科や数学は「わからないから、面白い」「わからないことが、面白い」「わからないからこそ、解き明かしたい」という世界なのです。

自分がどこまでやれるか分かりませんが、「わからないことが、面白い」という世界をもっと伝えていけたらと思いますし、私自身が、薄れかけていたかつての「宇宙の不思議にワクワクする感覚」を呼び戻していかなきゃと思った夜でした。