笑顔がめぐる世界に

人の笑顔が好きになると、自分も笑顔になります
~「問題のあるレストラン」より

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私の教室では、無料体験授業をやっているのですが、私はこの「体験授業」をとても大事に考えています。無料ではありますが、体験授業には、もしかすると私は通常の何倍ものエネルギーを投入しているかもしれません。それは、来てくれた生徒さんに入会してほしいという理由からではありません。

その初めて出会う生徒さんと保護者さんに「笑顔」で帰って欲しいからです。例え、その時間が、最初で最後の一度きりの出会いだったとしても、何か希望をつかんで帰ってほしいからです。

というのも、体験授業に来る生徒さんや保護者さんは、多くの場合、大きな悩みを抱えていらっしゃいます。今の現状が心配で、未来のことが不安で、時には藁をもすがる思いで、教室に足を運んで下さるわけです。

先生はどんな人だろう?どんな教室だろう?うちの子はうまくやっていけるだろうか?と本人も、保護者さんも、初めはとても緊張した気持ちでいらっしゃるはずです。

昨日も体験授業にいらっしゃった方がいたのですが、生徒さんは特に緊張していたご様子でした。私からの問いかけにも、緊張のせいか、なかなかうまく答えられないご様子でした。最初は私も、どうしたものかなあ・・・、何か突破口はないかなあ・・・と、すこし重い表情をしていたかもしれません。

しかし、よくよく親御さんのお話や、生徒さんの声に耳を傾けていると、実は今とても良い方向性にあるのではないかということに気づきました。その生徒さんの秘めた力が少し見えた気がしたのです。おそらく、その光明が見えたその瞬間から、私も笑顔になり始め、その日の体験授業の方針も見えてきました。

そして、苦手だと言っていた数学のある単元のプリントを私が用意し、その生徒さんの力を信じて、要点を自力で勉強してもらい、問題を解いてもらいました。そうすると、その生徒さんは、短時間で要点を理解でき、問題に全問正解したのです。その瞬間、その生徒さんに笑顔がこぼれました。親御さんも驚いておられました。私は何も教えていません。

苦手だと言っていた単元だったし、おそらく数学全般にも自信とやる気を失いかけていたと思います。でも、ちゃんと勉強して、トライしてみればできるんだ!という実感をその時に得られたのではないかと思います。その生徒さんには実は、自分で学習を進めていくだけの十分な力がありました。ただ色々な事情で一時的に勉強から気持ちが離れたために成績が下がり、自信とやる気を失いかけていただけのようでした。

私は、解く姿を見て気づいた、その生徒さんの素晴らしい点をできるだけ伝えて、ナビゲートしていきました。

授業を進めるうちに、だんだんとその生徒さんも表情がほぐれ、帰る時には溌剌とした表情で、幾らかの希望を手にしてくれたように思います。

先生と言う立場にある人間は、どんな深刻に見える状況の中でも、小さな光を見出し、それを大きな光に広げていくために、自分自身が笑顔でいることが大事だなあと昨日はとくに思いました。

笑顔でいると、色々な良いところが自然と見つかってくるんですよね。そして、笑顔って、伝染するんですよね。

笑顔で授業を進めていくと、生徒もだんだんと笑顔になってきます。そして、生徒の笑顔を見ると、先生もまた笑顔になれる。逆に、先生が深刻な顔をして、元気がないと、生徒もそういう表情や姿になっていきます。

もし、今回、私に元気がなく、何も気づくことができず、ずっと深刻な顔をしていたら、こんな風に授業を導くことができずに、生徒さんも親御さんも不安を抱えたまま、お家に帰っていかれたかもしれません。

おそろしや・・・。

これからも、笑顔が循環していく教室にしていきたいです。そして、この教室に縁があった方々を起点として、その周りにまた笑顔が広がって循環していくといいなあと、心から思います。