あなただから出来る事、あなたにしか出来ない事、それを追究すれば、学歴でもない、成績でもない、あなたの代わりは無理なんだという人生が待っていると思います。~つんく♂~
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声帯を切除したことを告白した、シャ乱Qのボーカルで音楽プロデューサーのつんくさんが、母校の大学の入学式で、新入生に贈った言葉からの抜粋です。
歌を仕事にしてきた人が、商売道具である声を永遠に失ったことの悲しみと辛さはどれ程のものだろうかと思います。でも、つんくさんは、発声という意味での声は失いましたが、新たな力強い「声」を手に入れたのではないかと思うのです。
つんくさんの今回の祝辞の全文を読んで、私も心を大きく動かされましたが、それはやはり、大切なものを失ったつんくさんの今の境涯から発せられた言葉だったからこそだと思います。同じ言葉でも他の人が言うのとでは重みが違います。声で成功したのに、その声を永遠に失った人の「声」だからこそ重みがあるのです。
これからつんくさんの発する「声」は今まで以上に影響力を増し、人々を勇気づけることだろうと思います。そして、これまでに彼が発表してきた楽曲も輝きを増して感じられるだろうと思います。自分の考えや感情を表現し、他者にメッセージを届けるのが声の役割だとしたら、彼は声を失くすことで、自らの「声」のステージを一段も二段も上げたのかも知れません。
天は彼から声を奪ったのでしょうか、それとも与えたのでしょうか。つんくさんの言う、あなただから出来る事、あなたにしか出来ない事の追究というのは、きっと、「奪われたと思うのではなく、与えられたのだと思って進むこと」なのではないかと思います。つんくさんの祝辞にはそういう、未来へ開かれた希望のようなものが感じられました。