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画狂老人卍

画狂老人卍って誰のことだか、ご存知ですか?これ、葛飾北斎の晩年の画号なんです。北斎は生涯に何十回も名前を変えてるんですが、晩年の画号はぶっ飛び過ぎてて笑ってしまいました。最近の中学生じゃあるまいし、70を過ぎた江戸時代の爺さんが、自分にこんな名前付けますかね?笑

鹿児島市立美術館で催されている「北斎展」に行ってきました。一番印象に残ったのはやはり、有名な「富嶽三十六景」のシリーズでした。一枚一枚の画の、動きださんばかりの迫力ある構図や、鮮やかな色彩感覚もさることながら、私が一番感動したのは、部屋の真ん中から、壁面に飾られた三十六景をぐるりと見回した時に受けた印象でした。

一枚の絵をじっと見ていても気づかなかったのですが、部屋の真ん中から、それぞれの絵を見回していくと、360度様々な角度から描かれた富士山が、様々な場所で、様々な生き方をしている江戸の庶民たちの暮らしをしっかりと見守っているように感じられたのです。まさにパノラマ、展覧会ならではの味わいでした。

きっと江戸の庶民たちの暮らしの中心には、見えるか見えないかは別として、「精神的に」美しい富士山が厳粛に存在していたのだろうなと思いました。(江戸時代は富士信仰が盛んだったと言いますしね。)そういう意味では、この富嶽三十六景は宗教画の類かもしれないと、初めて思いました。

画狂老人卍、ぶっ飛んでるだけじゃない、恐るべき天才画家ですね。

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