プロフェッショナル仕事の流儀という番組で見た、ビル清掃のプロの方に影響されて、普段やらないところまで、トイレ掃除をしました。隅々まで掃除をすると、トイレが愛おしくなるものですね。
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羽田空港は2年連続で世界一清潔な空港に選ばれたそうですが、それを陰で支えたのが、キャリア20年以上になるビル清掃のプロ、新津春子さんという方です。
新津さんは、清掃技能選手権で最年少の日本一になった経歴を持つ方で、技術はもちろん、清掃に対するプロ意識に並々ならぬものを持ってらっしゃいます。見えない所の汚れを放置しておくと「臭い」の原因になるからと、専用の道具まで開発して、徹底的に見えない所の清掃をする。でも、新津さんは厳しい顔をして清掃をしません。真剣だけれど笑顔で清掃されるのが素敵なんですよね。
プロとは何かという問いに「目標を持って日々努力し、どんな仕事でも、心をこめてできる人です」と答える新津さんを追ったこの番組からは、たくさんの刺激を受けました。その中で、教育業をやっている私の心に一番残ったのが、熱心に後進の指導にあたっている場面での、新津さんの次のような言葉でした。
「10個教えたうち、1個でも覚えてもらえたら嬉しいですね」
私ははっとしました。普段、1を知って10に発展させられるような人を育てたいと思って試行錯誤しているのですが、時には新津さんのこの指導スタンスも大事だなと再認識させられたのです。
そして実は教育において、10個教えたうち、1個でも覚えてもらえたなら、大成功なのかもしれません。もしも教える側が、覚えてもらえなかった9個の方にだけ目を向けたら、がっかりする気持ちや、自分や生徒を責める気持ちも生まれてくるでしょう。しかし、生徒に1個が定着するために、他の9個が必要だったのかもしれないと考えれば、そこには「許し」と「希望」が生まれます。
心をこめることと同時に、肩の力を抜くことも、プロとしてやっていく上では非常に重要なことなのだということを再認識させてくれた、非常に良い番組でした。