伸びる時には一度縮むことも必要です!
大きなジャンプをする時には、ひざをしっかり曲げ、小さく縮んで力をためますよね!
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数学を一生懸命勉強してきて、順調に成績が上がってきていたのに、急に点数が伸びなくなったり、すごく悪い点数を取ってしまうことがあります。
これが自分の限界なんじゃないかと自信を失ったり、刻々と迫る受験にものすごい焦りを感じたりして、心が不安定なってしまうこともあるでしょう。
でもそれは限界でもなんでもなく、「健全に数学の実力が向上している証拠」のひとつだと私は考えます。
勉強をしているのに、急に点数が伸びなくなってしまう原因、これには幾つか考えられます。
ひとつは、勉強をした結果、様々な解法を知識として得たために、迷いが生じることです。
勉強をやり始めた当初というのは、一つの問題に対して一つの解法ぐらいしか知りません。
だから、多少不格好でも、その一つ覚えの解法でがむしゃらに解いていくしかありません。
また、すべての単元に自信があるわけではないので、自分の自信のある単元にだけ集中して解こうと考えるものです。
その結果、その問題だけは解き切ることができ、ある程度の結果も残せるのです。
しかし、勉強を進めていく内に、一つの問題に対して、様々な解法を知識として持つようになると、その弊害が現れてきます。
中途半端に幾つかの解法を知っているという状態だと、その問題に対して、どの解法を用いるべきかに迷いが生じるのです。
また、色々な単元の問題に慣れてくると、出題されたすべての問題にアタックしてみようとします。
ですが、その結果、ひとつの問題に腰を落ち着けることなく、すべての問題を行ったり来たりするだけで、結局何一つ解決しないという状況に陥ってしまうのです。
それから、勉強をしてある程度自信がついてくると、問題を全部解こうと意気込んで、焦って解くために、ケアレスミスが多発することも伸び悩みの原因かもしれません。
勉強を進めていくと、力がついたために、逆にそういった予期せぬ「エアポケット」に入ってしまうことがあるんですね。
大事なことは、そこであきらめないこと、歩みを止めないことです。
もう一段、しっかりと解法についての理解を深めていくこと。
初心に返り、自分のできそうな問題にしっかりと腰を落ち着けて、集中して最後まで解き切る意識を持つこと。
そうやって、あきらめず勉強を続けていくと、不意に「エアポケット」を抜けて、一気に数学の結果が伸びる時が訪れるのです。
今までよりもずっと高い視点から数学の問題を見通すことができるようになり、着実に問題を解決できる腕力が身についているのです。
成長しているからこその「伸び悩み」というものがあります。
決して、自信を失わないで下さい。あきらめないでください。
そこを乗り越えて視界が開ける経験をすることは、きっとその後の人生でも大きな支えになってくれると思います!