
4月に入り、新年度が始まりましたね。
私事になりますが、ブリリアンスの定休日だった昨晩は、父の退職祝いを家族でささやかに行いました。
父は、大学の農学部を卒業してから、65歳の3月までの43年間、鹿児島の農業にずっと携わってきました。異動はあったものの、43年もの長い間、県の農業というひとつの現場に居続け、その仕事を全うしたということは偉大なことだなあと、我が父ながら尊敬の念を覚えました。
父の姿を見ていて、最近、自営業である自分はいつまで仕事を続けるのだろうと考えることが増えました。
生活のために仕事をしなくてはならないという側面も確かにあるのですが、それ以上に私には、この教育の仕事に関連して、やりたいことがたくさんあります。密かな夢があります。
仮に65歳まで仕事をするとして、あと29年、時間が残されているのですが、たった29年で、自分のやりたいことを全て実現できるのだろうかという不安が頭をよぎるようになりました。
20代の自分なら決してそんなことは思わなかったのですが、30代も半ばになり、自分がやりたいと思っていることの大きさと、それに掛かる時間が分かってきたので、計算ができるようになったんですね。
更に、自分がやろうとしていることは、ウイスキーなどの寝かせて美味くなるお酒と一緒で、何十年もかけてやっと熟成されるような気がするのです。
私はどうしても、ひとつの物事をひとつの切り口だけで突き詰めていくことができなくて(きっとそうできれば、その一個に関しては早くスペシャリストになれるのでしょうが)ひとつの物事を、多面的に様々な切り口から見たい、考えたいと思ってしまうタイプなんですね。
例えば、単純に数学を分かりやすく教えるスぺシャリストになりたいとは思わず、数学を勉強している時に人の頭の中ではどのようなことが起こっているのか、また、個々人の性格に合った数学の勉強とは何なのか、そういうことまで含めた理解を生徒に伝えられる師でありたいと思うんですね。
そのために、人よりも多分遠回りをしてきましたし、これからもしてしまうような気がします。
そして今はまだ風呂敷を広げる作業をしている段階で、その大きく広げた風呂敷をたたんでいく時間まで合わせると、一生では終わらないような気さえします。
でも、きっと、その方が私ならではの面白いことができるだろうし、生徒のみなさんにとって、もっともっとプラスになるものを、より多くの方に届けることができるように思うのです。
長いようで短い、あとたった29年。
それから先も、私にはやるべき仕事があるような気がするのですが、まずは父が背中で見せてくれた65歳というひとつのゴールまで、この道を一歩ずつ歩んでいきたいと思っています。
2016年度のブリリアンスもどうぞよろしくお願い致します。