学習サロン ブリリアンス

信頼が人を創る

人はどういう時に一番持っている力を発揮できるのでしょう?

それは「人から信頼され、自分を信頼しているとき」だと、私は思っています。

よく「テストの成績が良ければ○○を買ってあげる」とか「テストの成績が悪ければ、○○を取り上げる」という作戦で、子供にやる気を出させようとする親御さんがいらっしゃいます。

どちらもあまり良い作戦ではないですね。

前者のいわゆる「馬の鼻面に、にんじんをぶら下げる」作戦は、一時的な効果はあるかもしれませんが、段々と子どもにとって勉強をする目的が「○○を買ってもらえること」に変わってしまいます。

これは長い目で見ると非常に危険です。

なぜなら、勉強すること自体の価値が、子どもの中でどんどん薄れていくからです。

誰かから、何かをもらうことができないと、勉強をしようとしない人間になる可能性があります。

ただ、「自分で自分にあげるごほうび」は効果的に利用したらいいと思います。

例えば、数学の問題集を3回通ることができたら、息抜きに好きな映画を観に行こう、という風にです。

自分のモチベーションを人に管理されるのではなく、自分で管理できるようになることが大事なのです。

続いて、後者のいわゆる「負ければすべてを失う恐怖」作戦ですが、これは極力避けた方がいいですね。

まず、「これぐらいのペナルティを課さないとこの子はやらないだろう」という気持ちが透けて見えることから、子どもは親から信頼されていないと感じてしまいます。

親御さんも悪気がある訳でなく、なんとかして子どもに勉強をして欲しい、成績が上がって欲しいという焦りから、できればやりたくないであろうこの作戦を、苦渋の思いで実行してしまうのですね。

しかしながら、これは完全な逆効果を生みます。

例えそれが成功して成績が上がったとしても、その子は「好きなことを失う恐怖から逃れるため」に勉強をするようになり、そのうち何のために勉強をしているのか分からなくなるからです。

子どもに勉強をしてもらいたい理由って何でしょう?

それはおそらくその子に「豊かな人生」を歩んでもらいたいからではないでしょうか?

「恐怖」を用いて人を変えようすると、勉強をすることで豊かになっていくはずの心が、どんどん貧しく、荒んでいってしまいます。

そうではなく、子どもの持っている力をとことん「信頼」してあげることが大事です。

勉強だけでなく仕事だってそうだと思います。

例えば上司から、「これまでの君の仕事ぶりを見ていて、君だったらこの新しいプロジェクトを成功させられると思ったんだ。仮にうまくいかなかったとしても、責任は私が取るから、自分の思うようにやってくれて構わない。どうか引き受けてはくれないか」と頼まれるのと、

「これまでの君の仕事ぶりを見ていて、君にこのプロジェクトを手放しで任せるのは不安なんだ。だから仮にうまくいかなかったとしたら、給料を下げるけどいいよね?あと、自分勝手な仕事はするなよ。私が気に入るような仕事をするんだぞ」と頼まれるのと、部下はどちらが力を発揮できるか、答えを出すのは簡単だと思います。

子どもは自分のことを信頼してもらえると、自分の責任で人生のかじ取りを始めます。

自分の責任で何かを決定し、何かを実行し、良い結果も悪い結果もすべて自分の糧にしていく時、子どもは自分の中に自らの「芯」となるものを育てていきます。

周りに信頼されず、ごほうびや恐怖でやる気を管理され続けると、この「芯」となるものが育たず、覇気のないうつろな人間になってしまう可能性があります。

「あなたならできる」「やってみなはれ」という信頼が、「自分なら乗り越えられる」「やれる」という自信を育てていくのです。※「やってみなはれ」はサントリーの創業者、鳥居信治郎の口グセです。

失敗できる時には、大いに失敗したらいいと私は考えています。

定期試験では、失敗が許されます。

そしてその失敗を糧にして、受験本番では、手堅く勝っていくのです。

定期試験や模擬試験は、トライ&エラーを繰り返しながら、自分を知り、自分を磨いていくための材料です。

失敗の中にはたくさんの宝が眠っています。

それを掘り起こすことができれば、次に生かすことができます。

そうやって、その人ならではの大きな大きな花を咲かせていくことができるのです。

そのための「芯」を形づくるもの。

それこそが、周りからの信頼であり、自分への深い信頼だと、私は信じています。

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