学習サロン ブリリアンス

楠隼中合格のために

[本ブログは2017年3月22日の記事であり、現在ブリリアンスでは小学生の指導は行なっておりませんので、ご了承くださいませ]

約1年3か月前、ブリリアンスの門を一人の少年が叩きました。

彼は宇宙にすごく興味があり、宇宙学が学べることを売りのひとつにしている新設校へ進学したいという希望を持っていました。

この2年前に設立された県立の中高一貫校、楠隼中の合格に向けて、今年1年私がどのような指導を行ったかを今日は公開しようと思います。

なにせ始まったばかりの学校でほとんど情報がなかったことと、私自身が「適性検査型」の中学入試の指導をしたことがなかったので、ほとんどが手探りで、トライ&エラーを繰り返しながら何とか成功に導いた思い出に残る指導となりました。

1年前の私と同じように、楠隼中の情報が欲しいと思っている方、どのような勉強をして、どのくらいの実力をつければ合格できるのかと悩んでおられる方の一助になればと思います。

まず結論から申しますと、楠隼中に合格するために必要なことは三つあるようです。


小学校で習う算国理社の基礎をしっかり身につけること。

(他の公立中高一貫校では必要な場合もありますが、いわゆる「つるかめ算」などの私立中受験の知識はほとんど必要ありません。)


適性検査型の問題、過去問をたくさん解いて慣れること。


熱意。

以上の三つについて、ひとつずつ詳しくご説明致します。

【①基礎をしっかり身につけることについて】

その生徒は算数が苦手でした。

私が最初に行ったことは、算数に対するアレルギーを取るために「算数ラボ」(好学出版・塾用教材)で、思考力を高めるパズルのような問題にじっくり取り組んでもらうことでした。

また、「一行問題集‐算数」(四谷大塚・塾用教材)で、計算力を高めながら、つるかめ算などの私立中学受験の基本となる知識を身につけてもらおうと試みました。

これらをやることで思考力を要する適性検査の問題も突破できるのではないかと思ったのですが、その後、実際に模試や楠隼中の過去問を解いてもらって分かったのは意外なものでした。

何も高いレベルの思考力や裏技的知識は必要なく、結局は小学校で習うレベルの算国理社の基礎を徹底的に身につけた方が得点は上がるということです。(※他の公立中高一貫校では裏技的知識が必要な場合もあるようです。)

そこで受験期中盤から後半にかけては、「アインストーンダッシュ算数」(好学出版・塾用教材)や「小学生ワーク6年算数」(学書・塾用教材)をどんどん解いてもらって、とにかく算数の基礎力のレベルアップを目指しました。

算数以外に私がやった指導の中で意義深かったものを2つ挙げます。

ひとつは、都道府県の場所と名前、県庁所在地をしっかり覚えてもらうことです。

適性検査の地理の問題では結構、資料から都道府県名を答えさせる問題が多いのですが、これをやってもらってからは、正答率が格段に上がりました。

こういう地道な努力が大事なようです。

もうひとつは、南日本新聞のコラム「南風録」の書き取りと、タイトルつけです。

適性検査の問題には必ずテーマ作文がありますが、その生徒は作文で苦戦していたようだったので、普通の作文の練習以外にも、何か基礎力を高める方法はないかを模索しました。

そこでマネージャーの是枝にネットで調べてもらった情報+我々独自の味付けで生み出したのが、新聞コラムの書き取り+そのコラムにタイトルをつける、という学習法です。

原稿用紙を使い、新聞コラムの書き取りをなるべく丁寧に素早くしてもらうことで、誤字脱字を減らせること、洗練された文体を学べること、難しい漢字に出会っても動じなくなることなどの効果があります。

実際、この取り組みを始めてから、生徒の作文の質が「子どものそれ」から「大人のそれ」へ変化しました。

また書き取りだけだと文の意味を考えないまま機械的な作業になってしまいがちなので、書き取りにプラスして「コラムを読んで要約してもらう」という手法もよく用いられるようです。

しかしこれだと生徒の負担が大きすぎるので、「コラムを読んでタイトルをつける」というライトな形で文意を把握してもらうようにしました。

これは半分真面目に半分面白がってつけるくらいが、楽しく学習が続いて良いのではないかと感じました。

【②適性検査型の問題、過去問をたくさん解くことについて】

やはり適性検査型の問題をたくさん解いてコツをつかんでいくことが大事です。

私の所では、一貫突破(学書・塾用教材)を一冊やり抜いてもらい、サーパス適性検査編(文理・塾用教材)については難しい算数の問題は除いてほとんど解いてもらいました。

適性検査型の学習でおそらく一番のネックになるのは、自分で採点するのが難しいということです。

すなわち「添削してくれる人」を必要とするということです。

子どもさんが家で勉強ができる子で、親御さんが根気強く添削してアドバイスできるなら、特に塾に通わなくても、楠隼中合格は可能だと思います。

それからやはり、定期的に模試を受けることが大事ですね。

今回の場合は

全国一貫模試(クロノクリエイト社・ブリリアンスで実施)

第2回 鹿児島中高一貫模試 (昴)

第3回 鹿児島中高一貫模試 (昴)

という流れで、模試を受けてもらいました。

模試を受けることで、どこが弱いかが分かり、そこに的を絞って対策ができましたし、回を重ねる中で、合格判定が上昇していったのも大きな自信になりました。

受験期の終わりの方では、玉龍中の5年分の過去問と楠隼中の3年分(模擬問題含む)の過去問を、時間を計って解いてもらい、実戦形式に慣れてもらいました。

最初は時間内に終わらないことが多かったので、初期の頃は制限時間を50分に設定し、段々と既定の45分でやってもらう形に切り替えていきました。

それでも年度によっては作文が書き終わらなかったりして、少し冷や冷やしていたのですが、受験本番では時間配分もうまくいき作文も最後までしっかり書き終わったとのことでした。

【③熱意について】

これは楠隼中を受験したことがある他の生徒から聞いた話です。

その生徒は一次試験には合格したそうなのですが、二次試験の面接で「合格したら楠隼中に来ますか?」という質問に対して、言いよどんでしまったため、不合格だったのだそうです。

その生徒の第1志望は全国的に有名な某難関私立中だったので、嘘がつけなかったのだそうです。

その第1志望の難関中には合格していること考えると、楠隼の一次試験も結構良い成績だったと推測されるのですが、楠隼中側は学力よりも「楠隼中に行きたい!」という強い気持ちを持った生徒を優先的に合格にするようです。

今回楠隼に合格した生徒は、昔から宇宙に興味があり、宇宙学が学べる楠隼中は第一志望でしたし、受験までにも何度もオープンキャンパスに行っていました。

面接でも、ロケットや宇宙に対する興味の強さや、楠隼中に是非とも入りたいという熱意が伝わったのでないかと思います。

以上の三つが、私が約1年間の楠隼中受験指導の中で見えてきた合格のポイントでした。

最後に、楠隼中の難易度についてですが、昴さんの模試を見ると、玉龍中よりは下にランクされているようです。

しかし始まったばかりの学校であり、今年度初めて中学から高校まで全学年の生徒が揃うとのこと。

今後の楠隼生の活躍によっては、難易度は上がって来るかもしれません。

伝統のある学校に入るのも意義あることですが、新設された学校で伝統を創っていくのもまた意義深いことではないでしょうか。

楠隼生のみなさん、そして楠隼を志望しているみなさんの、今後益々のご活躍を祈念して、今回は筆を置かせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

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