こんにちは。この夏より、ブリリアンスの講師となりました、藤良あきらと申します。
今回は、夏期講習の授業で担当させていただいた物理について、私が思ったことについてお話したいと思います。
突然ですが、物理は面白いですか?好きですか?得意ですか?
実は、私は物理が面白くありませんでした。嫌いでした。苦手でした。
しかし、最終的には、自信満々にはなれなくても、難関大の問題にアレルギー反応を起こさなくなりましたし、それなりに武器になるようにはなりました。そしてほんの少し好きになりました。ですが、これはあくまで今になって思うことで、少なくとも受験勉強をしている間は好きではありませんでした。これは私だけに限らず、多くの物理選択者で、元々物理が好きでない人は、勉強している間ずっと苦しみ続けるのも珍しくないのではないかと思います。
もちろん、苦手な科目を克服するために、好きになることから始めることもすごく良い方法です!物事に対してポジティブなイメージを持つと、モチベーションも上がります。嫌いな人よりは、何らかの壁にぶつかっても積極的に対処しやすくなります。物理が好きな人、好きになろうと頑張っている人は、それが役に立つ場面もあるのではないかと思います。
ただ、物理がどうしても好きになれないという人へ。「物理が嫌ではなくなり、頑張ることができるようになる」のは、「物理が好きになる前」でも不可能ではありません。
ですから、「物理が好きになれません、嫌いです、面白くありません。だから頑張れません。」とあきらめてしまうのは少しもったいないと思います。
私は、「物理が好きになれない人、得意になれない人」なりの足掻き方があるのではと思います。
私が考える足掻き方について、少しお話させていただこうと思います。
今まで物理を習ってきた人の中で、あまり物理の学習に気乗りしなかった人の中には、「物理が得意」であったり、「物理が好き」であったりする先生や周りの人達に、あまり共感できなかった人が多いのではないかと思います。皆さんの身の周りにいらっしゃる多くの物理の先生は、「物理が好き」あるいは「物理が得意」な先生方ではないかと考えられます。確かに、素晴らしい解法を知っていたり、難問を解けるよう導いてくださったり、本質的なところをしっかり教えてくださったりするという点で、物理が好きであったり、得意であったりする先生方は、本当にありがたい存在です。ただ、私が物理を学習しながら感じたのは、「物理ができる人とできない人の間に存在する深い溝のようなもの」です。
なぜそのような溝が存在するのでしょうか。
物理を学習し、物理の問題を解いていくうえで、「大事なプロセスの数と質が人それぞれ」だからではないかと私は思います。
「未知の値を文字で設定し、後から消去する」という手法を例に挙げて考えてみましょう。得意な人や、好きな人にとっては、「あっ…こうすればいいな」と、自然としてしまう、苦にならない、当たり前のプロセスです。
一方で、「なんでそんなことをするの?」「やり方を覚えればいいの?」「他の問題だったらどうするの?」という疑問を抱える人もいらっしゃるのではないかと思います。その状況に対して、「自分は頭が悪くて分からないから」と片付けてしまうと、疑問を処理できないまま、ふわっと解答を読んだり、解説を聞いたりして、もったいない学習に終わってしまうのです。しかし、こういった人にとって、このプロセスは「大切」であり、越えるべき壁ともいえます。解答や解説で伝えていることが、自分にとって大切なことのすべてだとは限りません。自分が分かっていないことは何か、大切なことは何か、地道に明らかにすることが必要なのです。
つまり、その人にとっての「大切なプロセス」は多かったり少なかったりと、人それぞれなのです。「先生が言った大事なポイント」だけが、「自分にとっての大事なポイント」ではないということです。これを丁寧に克服することで、自分が抱えるモヤモヤを着実に解消することが可能になり、更にこの経験が次に活かされる引き出しにもなり得ます。
こうして「自分の力だけで解ける問題」の数が増えていくのです。
今敢えて「自分の力だけで解ける」という言葉を強調しましたが、ここにも物理が苦手になりやすい落とし穴があります。「自分が理解したと錯覚しやすい」という物理の特徴です。物理の授業などでは、先生や周囲の友人と一緒に問題を解くことが多いですが、この学習には、説明する側の理解が深まるというメリットがある反面、あまり勉強していないのにもかかわらず自分が理解できていると勘違いし、他人の力を借りて勉強した気になっているというケースを生みやすいというデメリットが存在します。これが、「自分は頑張っているのにできるようにならない」という悩みの種になってしまいます。これを分かったうえで、自分なりに妥協しない勉強をするということも、物理という科目に歩み寄るポイントになるのではないかと思います。
私は元々物理を好きになれなかった分、今物理を好きになれずに苦しい思いをしている人にとって、少しでも力になれたらと思います。気軽に相談していただけたら嬉しいです。