新教室を創るにあたり、ここのところほぼ毎日買い物をしています。
即決できるものもあれば、吟味に吟味を重ね、
やっとの思いで購入に至るものもあります。
今回、一番手間と時間をかけて選んだもの、
それは、生徒用の椅子です。
できるだけ生徒が学習しやすく、座るだけで精神が深い
「知」の海に潜れるような椅子を用意したかったんです。
私が最近買って大変お世話になっているプレジデントチェア
のように、椅子は座る者の「知」を支えると思うのです。
ほとんどのものはネットで用が足りるのですが、
椅子だけは実際に座り心地を確かめてみないと分かりません。
私は、鹿児島市内の家具屋をめぐりにめぐって、
目ぼしい椅子に座っては、考える人のポーズを取り
うーん、うーんと唸る日々を過ごしたのですが、
なかなか「これぞ!」という椅子には巡り会えませんでした。
しかし、脳みそが煮詰まりかけた頃、椅子探しの相談をしていた
ある友人が吉報をもたらしてくれたのです!
(※煮詰まるという表現は、本来は、十分に議論・相談など
をして、結論が出る状態になる。という意味だそうです)
最近閉店した鹿児島三越の跡地に「マルヤガーデンズ」
という、テナントショップの集合体ができたのですが、
そこのインテリアショップに、良い椅子がありそうだよ!と。
そのお店は、「D&D DEPARTMENT」という、
上品で洗練されたユーズド家具を扱っているお店でした。
(おそらくは70年代前後の家具が中心でしょう。)
どの家具にも、嫌味でないノスタルジックな残り香があります。
そこの一角に、黒い椅子の群れが鎮座していました。
ユーズド商品とは思えないくらいの光沢がある銀色の4本足と、
深い黒色の滑らかなシートがついた、重みのある椅子です。
東京から仕入れたということ以外、出所は分からないのですが、
きっとどこかの会議室や図書館で使われていたのではないでしょうか。
シートに座ると、ぷしゅーっと、少しずつ空気が抜けて
お尻がフィットしていきます。その感覚がなんともたまりません。
私は、その座り心地と、「知」を支えてくれそうな重厚感が
決め手となって、ついにその椅子を6脚購入することに決めました。
(※新教室のセミナー授業の1回あたりの定員は6名なんです。
授業の中で「交流」ができる距離を大事にしたいのです。)
それらの黒い椅子の群れから、状態の良い6脚を選ぶために、
店員さんと一緒に、積み重ねていた椅子を全部床に並べて、
傷の状態や、足元にガタが来てないかどうかを確かめていきました。
店員さんも、嫌な顔をするどころか、「一番良い椅子を選んでくだ
さいね♪」と、とても積極的に椅子選びを手伝ってくれました。
値段はユーズドだからと言って、決して安いものではありませんで
したが、(かといって高いわけでもないのですが)
とても気持ちの良い買い物ができたと思います。
教室に並べてみると、一気に部屋の重みが増しました。
大学の図書館のような雰囲気が出せたらなあ…とも
思っていたのですが、これに座る生徒たち(主に高校生)は、
受験を通り越して、大学生になったような心持ちで、
学ぼうとする意欲を高めてくれるんじゃないかと思います。
最後に、今回気づいた買い物をする時のコツ、3か条を。
1.購入の決め手に欠ける時は「待て」という合図。
何か心に未消化なものが残るようなら、
すこし待って、情報集めに専念した方が良い。
2.良い相談役(ブレーン)を持つこと。
自分と感覚が異なる人の意見は、時に重要。
真逆の意見にも耳に傾けると、バランスがとれる。
3.良い買い物とは、「気持ちの良い」買い物である。
値段や品物の質も大事だが、購入する店の接客、
購入に至るまでのストーリーが、「気持ちが良かった」
ということが、購入した商品への愛着を高めるものである。