命を愛すること

誕生日の翌日、1月27日は、これから家族の一員になってくれる仔犬を迎えに、鹿屋市のブリーダーさんのところへ行きました。

寒さや降雨を心配していたのですが、その日は暖かく、とても気持ちのよい天気で、仔犬を迎えるには最高の日よりでした。

鹿屋市というのは、桜島の浮かぶ錦江湾をはさんで、私の住んでいる鹿児島市とは対岸の大隅半島にあります。

大隅半島に向かうフェリーから見える桜島も、その日はとても穏やかで、私たちを見守ってくれているような気がしました。

垂水フェリー

鹿屋市のブリーダーさんは、「人間が大好きな犬を育てたい」という信念をお持ちの、とても優しい素敵なご夫婦でした。

その仔犬を飼うことを決めて、迎えに行くまでの約1か月の間、ほぼ毎日、その子の姿を撮った写真を、愛情に満ちたメッセージと共に、メールで送ってくださいました。

日々成長していく様子を画像で見ていたこともあって、実際にその子の姿を目にした時は、「初めて会えた」というよりも、「再会できた」という気持ちが強かったように思います。

彼女はケージのお部屋でお利口に過ごしていました。

ケージの中の彼女

彼女はヨークシャーテリア種で、ようやく2か月を過ぎたところです。

ヨークシャーテリアは、毛色がどんどん美しく変化していくこともあって「動く宝石」と呼ばれているそうです。

彼女が家に来て3日が過ぎましたが、1日1日大きく成長しているのが分かります。

名前はカロン。長いまつ毛がチャームポイントです。

下の写真は、昨日1月30日の彼女です。

カロン

カロンとの新しい生活が始まりました。

彼女の姿を見ていると、昨年天国に帰って行った愛犬ルカのことが思い出されてなりません。

カロンを迎える前は、そんな風にして以前の愛犬のことを思い出すのは、新しい飼い犬に対して失礼であり、良くないことではないか、と考えていました。

これからは、ルカからなるべく心を離すようにした方がいいのかなとも思っていました。

しかし、今は違う心境になりました。

カロンを産んでくれたパパ・ママ犬、カロンと遊んでくれた友達犬、カロンを大切に育ててくれたブリーダーさんと実際に会い、カロンを迎え入れ、新しい生活を始める一連の物語の中で、私は「人はひとつの命だけを愛しているようでいて、実は同時にたくさんの命を愛しているのではないか」とふと気づかされました。

命を愛するということは、その命につながる多くの命を愛するということでもあります。

私たちがある命を愛する時には、その命を育んでくれたお父さんやお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、またその友達に至るまで、多くの命をほんとうは同時に愛していることになります。

だから、カロンをカロンとして愛することの中に、天国に帰ったルカを愛することが含まれているということは、何も悪いことではなく、とても幸福なことではないかと思ったのです。

カロンは私たち家族にとって、これからどんどんかけがえのない存在になっていくでしょう。

しかし、究極的に言えば、そんなかけがえのない命に新しく出会えて、幸せな生活を共にできるのは、ひとつの大好きな命が天に帰っていったからです。

よくよく考えてみれば、この世界の仕組みは、なんてやるせないものなのでしょう。

だからこそ、カロンを愛することが、カロンとの出会いをもたらしてくれたルカをも愛することにつながるというのは、この世界の無常が、あたたかな永遠に変わっていくようで、なんて幸せなことだろうと思うのです。

カロンにもルカにも、心からありがとうと言いたいです。

これから、カロンが元気ですくすく育ちますように。

私たち家族の一員であることを、幸せに感じてくれますように。